トランペット高音域への科学的アプローチ実験

付録a

1.唇の合わせ目をマウスピース下端に移動させる別の方法1 (楽器角度)

 仮説の「高音では唇の合わせ目をマウスピース下端に移動する」は、唇の力による方法だけではなく、「図 楽器と顔の角度 1」のように、楽器と顔の角度を変えることでも同じ状況、高音では下唇を薄く低音では下唇を厚くできると考える。今のところ余裕がないのでまだ積極的にやってはいないが、高音に向かって行くときに楽器を下向き(顔を上向き)にするというより、上唇に対してマウスピースを上に移動し下唇を薄くすると言い換えれば、良いのだろうか。

図 楽器と顔の角度1

 筋力のない自分にとっては、唇の負担も減らせそうなので、この方法もそのうちやってみるつもりではある。今のところ下唇の使い方を探している最中ではあるが、楽器が自然に角度を変えてしまうのはOKというルールにしている。
 上唇の使い方から始まり、下唇、そして楽器の角度と、徐々にコントロールすべきものが増えてきた。やはり、広い音域をコントロールする安易な方法はなさそうだが、出来るだけ筋力を使わずに音を出そうとしているのだから多少複雑になっても仕方がない。いや、複雑ではなく、単純な方法の組み合わせが増えただけ。
 楽器の角度を変えるにしても、高音で楽器を下向きと、高音で顔を上向きがある。「楽器を下げると音程が上がる」より「顔を上げると音程が上がる」のほうが、脳みそが繋がりやすいかもしれない。しかし、楽器上げ下げは腕で出来るが、顔の上げ下げは首の筋肉使用なので、あまり痛めたくないし、どっちが良いのか。
 どんな方法でも、メリットとデメリットがあるが、習慣になるまでやれば自分にとって吹きやすい方法になるだろう。
 楽器の角度を積極的に変えている演奏家は多いが、特に女性のアリソン・バルサムは首の動きが激しい。速いパッセージなどでは首が痛くならないかなあと心配になるほどである。

2.唇の合わせ目をマウスピース下端に移動させる別の方法2 (口角上下)

 別の方法として考えられるのは、「図 口角上下で上唇を移動」に示すように、リムを支点にした梃子のような感じで口角が上がればマウスピース内の唇は下がることになる。
 もちろんこれもまだ考えただけなので、今後自分を観察しつつ、そのうち実験してみたい。

図 口角上下で上唇を移動

3.口周辺の筋肉について

 口周りの筋肉については、美容関連のサイトに詳しく説明がある。長期休養中に大雑把に調べてみた。ここでは、本文中で話題にしたと思われる筋肉とその働きについて考えたことを記載。例えば、「上唇鼻翼挙筋(ジョウシンビヨクキョキン)」等で検索すると数多くのサイトが見つかる。
 上唇を寄せて上下するときに使っていると思われる筋肉と下唇をベロンチョしながら動かしていると思われる筋肉を、「図 口周辺の筋肉1」と「図 口周辺の筋肉2」とに列挙してみた。
もちろんここに記載した筋肉以外にも使っている筋肉はあるはずで、すべての筋肉はつながりがあるので、単独で動くことはないだろう。そして、筋肉は縮む方向にだけ力が入る。
 上唇については、上唇の真ん中を真上に引き上げる筋肉は無いので、感覚的に真ん中が引き上げられているように感じているだけで、上唇鼻翼挙筋と上唇挙筋とが引き上げているのだろう。そして、口輪筋が寄せて閉じよう(下げよう)と力が入り、笑筋が横に引く力なのだろう。
 下唇については、口輪筋の寄せて閉じようとする力がマウスピースを下から支え、下唇下制筋が横に引く力とベロンチョ維持(外向き)の力なのだろう。

図 口周辺の筋肉1
図 口周辺の筋肉2

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